「りんごでつながるファンとの絆」モリモリ農園の描く未来

2022/03/22
2022/04/06
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地方には並々ならぬ情熱・こだわりを持って生まれる食材や伝統工芸などが数多く存在します。それらの品質が一級品であることはもちろん、その背景には生産者の想いや今に至るストーリーがあります。

「日本全国・地産伝承 いき物語」では、 テレビ局が地元で活躍する人を深掘りすることを通して地方の魅力を伝え、 地元でしか流通しない特産品や伝統工芸品などを紹介します。

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今回の主役:モリモリ農園 森親史さん、森陽子さん
青森県北津軽郡でりんご農家「モリモリ農園」を営む森親史(ちかし)さん・陽子(ようこ)さん。2人が大切にしているのは、りんごを届けるお客様とのコミュニケーションです。「本当に美味しいと思うりんごをお客様に届けたい」という想いを持ち、日々のりんご作りだけにとどまらず、規格外りんごを活用したりんごジュースづくりや、オンラインイベントの開催など、新しい取り組みに積極的に挑戦しています。

出演:田村淳さん(ロンドンブーツ1号2号)・張間陽子さん(レポーター)・ときさん(りんご娘)

【目次】

「りんごの木は生きている!」森さんが語るりんごの一年

  • 森さんが一番大切にしている作業とは?

ふぞろいでも立派なりんご!「規格外りんご」に向き合うモリモリ農園

  • 「規格外りんご」とは
  • 「消費者の思い込み」を変える

「成長から届くまでの過程も一緒に楽しんでもらいたい」ファンとのコミュニケーションを大切にするモリモリ農園が目指す、一次産業の未来像

  • SNSを活用したファンとのコミュニケーション
  • 「コミュニティ形成」というこれからの第一次産業のあり方
  • モリモリ農園がコミュニティづくりにチャレンジする理由とは

一次産業で活躍する女性のアイデアを活かすモリモリ農園

  • コミュニティで応援してくれる人が心の支えになる

出演者からのメッセージ

「りんごの木は生きている!」森さんが語るりんごの一年

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青森県の津軽地方で、自然と対話しながら、愛情を込めてりんご作りをしている森さん夫妻。手入れを行う中で、「りんごの木は生きているんだ」と感じる場面が多くあるそうです。モリモリ農園から私たちの手元に届くまでの「りんごの一年」について詳しくお話していただきました。

森さんが一番大切にしている作業とは?

森(親):一番大切にしている作業は「整枝 剪定」という作業です。りんごはすごくお日様や水が必要なものなんですよ。なので、お日様を木全体にまんべんなく入れるように、枝を整えていきます。

田村:ここがベースを作る上ですごく大切なんですね。

森(親):はい。りんごの木を健全な状態にするために、「整枝 剪定」というのは一年の中で一番大事な作業だと思っております。

ふぞろいでも立派なりんご!「規格外りんご」に向き合うモリモリ農園

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モリモリ農園で昨年(2021年)収穫されたりんごのうち、約2割弱が規格外のりんごでした。普段は産地市場に出荷されるのですが、規格外りんごは安価な価格で取引されているのが現状です。

「小さな傷や枝葉の影による色ムラがあっても、皮を剥いて取り除けば、他のりんごと同じように食べることができる。規格外でも、おいしいりんごを食べてもらいたい」という想いから、森さん夫妻は様々な取り組みを行っています。

alt▲「ツル割れ」のりんご

「規格外りんご」とは

森(親):ここのツルが割れているんですよ。夏場の雨で果肉が成長するんですけれども、それに表面の皮が追い付いていかなくて、こういう劣化の現象が起きます。なりやすい品種、また全くならない品種もあります。これはフジという品種なんですけれど、なりやすい品種です。

田村:全然買うけどなぁ。それでもはじかれちゃうんですね。

森(親):はじかれちゃうというか、出荷先には良品としては出せない。

田村:結構な割合で規格外りんごは出てくるんですか?

森(親):うちは2割弱くらいです。一応、廃棄という形ではなく、「規格外」として販売をさせていただいているのですが、良品よりもランクが下がるので、低い価格で取引される感じになります。

張間:「規格外りんごをどうするか」というのは課題だと思いますけれども、森さんのところではどんなことをされていますか?

森(親):僕のところでは、オンラインでの直接販売だとか、昨年販売はしていないんですけれども、ジュースに加工してこれから販売していこうかなとか、あとは、地元のスーパーで袋に詰めて販売しています。

「消費者の思い込み」を変える

田村:確かに「良品」と呼ばれる形の良いものを好むのもわかるんですけど、僕自身は消費者の目線からしても、規格外のちゃんとした品質やおいしさを知っている人を増やす教育も必要なような気がしていて、「まん丸じゃないとだめだ」と思い込んでいることも、SDGsの観点から言ったら、僕は消費者側もいろいろ変わらなければいけないタイミングに来ているような気がしますね。

田村:僕は味が同じであれば、形にそんなにこだわりはないので。むしろ安く買えるんだったらと思うけど、でも生産者さんのことを考えたら、僕は同じような価格で取引しても、味が担保されていれば問題ないと思いますけどね。

森(親):僕たち自らも、消費者に発信して理解していただいた上で販売していければ、もっと生産者も潤うというか...

田村:潤っていいと思いますよ。潤うことでまた次のおいしいりんごを作るための活力にもなるし、投資もできるじゃないですか。しっかり潤っていただく意味でも、僕たち消費者は生産者を支えるっていう気持ちで、りんごをありがたくいただきたいなと思いますけどね。

「成長から届くまでの過程も一緒に楽しんでもらいたい」 ファンとのコミュニケーションを大切にするモリモリ農園が目指す、一次産業の未来像

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森さん夫妻が大切にしていることは「顔が見えるお客さんに、りんごを届けたい」という想いです。りんごを栽培するだけでなく、届ける先においしく食べてくれるファンがいて、感謝や応援の気持ちが返ってくる。そんな温もりのある関係を築きたいと考えています。

SNSを活用したファンとのコミュニケーション

張間:生産者の方から見て、買っていただける方をファンと捉えているわけですよね。みなさんとは、どのようなコミュニケーションを取っているのですか?

森(親):りんごの生育状況だとか、今こういう作業をしているだとか、そういうのをSNSを活用して、買っていただける方々に発信をしています。

森(陽):SNSで繋がって、園地を見ていただくことで「空が気持ちいい」とか、画面越しだけれども、青森県の美しさや空気感というのも伝わって、喜んでもらったり。あとは主人がお友達の農家さんと、「青森県のりんごおいしいよ!」と津軽弁バリバリで話している動画をInstagramで使ったり。Facebookグループなども活用しています。

「コミュニティ形成」というこれからの第一次産業のあり方

田村:僕はこれからの時代、コミュニティをどういう風に形成していくかというのがものすごく大切な時代になってくると思っていて、そんな中で第一次産業の方とコミュニティを作るという発想がまず面白いなと思いました。

コミュニティの中に入ってくると、りんご作りが自分事に変わっていって、「今どんな感じで育っているんだろうか」と興味を持ち、生産者の人に気持ちを一緒にジョインしていくという形が取れると、新しい第一次産業が生まれると思っていて、すごくこの取り組みは応援したいです。

田村:そのコミュニティの中に自分が入っていって、りんごに特化したコミュニティって、僕は出来上がったりんごの味が変わるような気がしていて。

僕実際、自分のオンラインサロンで、みんなでコットンを育てて、そのコットンから自分たちのオンラインサロンの旗を作ろうというのを掲げてやったことがあるんですけど、今までコットンを作ったことがない人たちがコミュニティでコットンを作ることによって、コットンが自分事になって、それで作った旗はより愛おしいものに変わっていくっていう。

まさに今モリモリ農園がやっていることって、「生産者を一緒に作りましょうよ!りんごのこともっとみんなで理解していきましょう」というファンになるというか、自分の人生においてのりんごのポジションがぐっとあがるような気がしていて、めちゃくちゃかっこいい第一次産業のあり方を今提示してくれているなと感じましたね。

モリモリ農園がコミュニティづくりにチャレンジする理由とは

田村:でもなかなかできることではないですよ、コミュニティづくりって。よくこんな発想に行きましたね。どうしてチャレンジしてみようと思ったんですか?

森(陽):やっぱり買っていただいた方っていうのは、一番身近なお友達とか一番近い人が多く、いろいろ応援してくださっています。年末、収穫が終わった後にメッセージをいただくのが、涙が出るくらいとっても嬉しくて

モリモリ農園のりんごを買っていただいた方、Facebookで繋がっている方のグループがあるから、そこでどんどん、青森県の日常も発信してきたいなと思いつき、今年去年とお買い上げいただいたお客様をグループにご招待し、応援していただいているっていう形になっています。

田村:森さんの想いに一度触れた人が、「あそこのりんごおいしいよ」って広報を勝手にしてくれるようになるっていうのが大きいですよね。涙が出るくらいのメッセージが寄せられるって、りんごを作る上でのモチベーションがかなり上がってくるんじゃないですか。

森(親):そうですね。今、コロナ禍という状況で、一昨年(2020年)、「オンラインりんごもぎ」っていうのをやったんですよ。リアルではないので、実際見て触って収穫という形にはならないですけど、Zoomでりんごを映しながら、画面越しに参加者が欲しいりんごを選んで、もいだりしたんですね。

その延長として、小学校中学年高学年くらいの子供たちに、「オンラインりんご講座」をやりました。りんごができるまでの一年間、どういう作業をして、どう成長していくのかの説明をさせていただいて、Zoomでりんごを映しながら、オンライン収穫体験をやりました。

田村:オンラインりんごもぎって、映像を見て、「それをもいでください!」っていうのをやってくれるっていうことですよね。めちゃめちゃ楽しそう。

森(陽):それもお客様の声からお聞きして始めました。

森(親):今年、講座に参加した子供たちから年賀状をもらいまして、「森さんがやっている畑に行ってみたい」だとか、そういうメッセージがすごく嬉しくて、やって良かったなと感じました。こういうことはまたどんどんチャレンジしていきたいなと思っております。

田村:生産者側からしても、自分たちのことを推してくれる人と繋がるっていうのは、働きがいとか、作りがいに繋がっていって、その作ってもらったおいしいりんごを、コミュニティの中でまた分け合ってっていう、すごいいい循環ですよね、お互い。

一次産業で活躍する女性のアイデアを活かすモリモリ農園

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東京から青森に移住し、りんご農家となった森陽子さん。「りんご農家の嫁」ならではの視点やアイデアは、モリモリ農園の活動に反映されています。

コミュニティで応援してくれる人が心の支えになる

森(陽):2020年、コロナ禍になってオンラインが広がったことで、そこで出会った方たちと、オンラインマルシェに参加させてもらったりしました。また、オンラインりんごもぎ体験やオンラインりんご講座も、「やってほしい」というお声をいただいて、それをアイデアとして主人に言ったのが私です。新しいことやお互いに楽しめることを、いろいろやってみたいことがふつふつと湧いてきて、提案しているという感じです。

ときさん:りんご農家さんって、男性の方が引っ張っているイメージがありますけど、これからの時代は陽子みたいに女性の方も活躍するりんご農家さんも増えていきそうな気がしました。

田村:固定観念がないっていうのが大切なのかなって、今の話を聞いて思いましたね。
「農家ってこうじゃなきゃいけない」っていう中だと、なかなか新しいことに挑戦できないと思うんですけど、「今までの農業じゃだめだよね」「変えていこう」っていう新しいなり手が出てきて、一次産業の課題を解決するとともに、新しい未来が見えてくるところまで提示してくれるっていうのは、僕はイノベーションだと思います。まさにイノベーションをりんご農園の中で起こしている2人だなと感じますね。

田村:理解する人が周りにいてくれるっていうのは心強いと思うんですけど、ちょっと前の時代だったら「そんなことしちゃダメよ」って言われていたんじゃないかなと思うんです。その辺りどうですか?

森(親):今でも多分あると思います。同じ生産者さんに見てもらうのはすごく恥ずかしくて、そういう気持ちは今でもありますし、たぶん年配の方は「あいつなにやっているんだ」って言うんじゃないかなと思います。

田村:でもそういう声に対峙するためにも、やっぱりコミュニティって大切で、誰が何と言おうが、応援してくれる人がいるっていうことが、2人の心の支えになる気がしますけど、どうですか?

森(陽):そうですね、やっぱり、ちょっとした一歩もやっぱり進みにくいなっていうのは青森に来てから感じたことがあって。私には簡単に感じることでも、こんなに進まないんだということもありました。けれども、このままではいけないと思うし、それを楽しんで進んでいくっていうことが、青森に来たことで、すごく大切な部分だったので、そこは喧嘩してでも貫き通そうって思って、今に至っています。

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出演者からのメッセージ

●モリモリ農園 森親史さん
オンラインでシェアオーナーになっていただいて、収穫した時の喜びなどをともに共有できたら嬉しいし、それに対して「またやっていこう」という言葉をいただけると、すごく励みになりますので、ぜひ僕たちと一緒に、シェアオーナーをお願いいたします。

●モリモリ農園 森陽子さん
シェアオーナーとともに、子供たちにもりんごの一年や体験も続けていきたいと思っておりますので、見守っていただければと思います。応援していただけたら嬉しいです。

●ロンドンブーツ1号2号 田村淳さん
りんごのイメージがだいぶ変わりましたね。
今回、コミュニティの大切さと、そして何よりもお二人のキャラクターに魅せられたというか、こういう人が作ってくれて、こういう人が今りんごをもっと世の中の人に知ってもらおうと思って、いろんなアイデアを出して頑張っているという姿を見て、さらにそんなニ人が作ったりんごジュースがものすごく衝撃なんですよ。だからこの短時間で自分事に僕はなっただろうし、このコミュニティに僕も参加したいなと思います。

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